沖縄慰霊の日~2024年

積雲

2024年06月28日 21:00



 月桃の歌碑。
 
 碑の大きな岩石には海勢頭
 豊さん作詞・作曲の「月桃」
 の歌詞が刻まれている。


 慰霊の日の追悼式典では、
 献花のときに少年・少女の合
 唱団によって「月桃」の歌が
 が歌われる。

 今年も歌われた。
 下はその4番の歌詞。

  海はまぶしい喜屋武の岬に
  寄せくる波は変わらねど
  変わるはてない世の情け
  ふるさとの夏

 
 今年の追悼式典、内閣総理
 大臣の献花時は、4番と5番
 の歌が流れていた。
 
 





 「変わる果てない浮世の情
 け」とは、再び戦争に向か
 おうとする人間の弱さを意
 味すると、

 歌詞について海勢頭 豊さん
 は語っている。


 少年・少女たちの歌声は
 総理のこころの内に届いた
 だろうか。


 【参考】WEBサイト検索
 ●復帰50の物語/第27話、
  沖縄戦と向き合い平和を
  願う「月桃」
  (5Channel /CATCHY)
 


 


 歌碑は西原町の運動公園
 内(陸上競技場下方の「夕
 日の広場」の奥)にある。

 歌碑の除幕は、2023年の
 異例の日前日6月22日。 


 画面の奥、月桃に囲まれた
 薄黄色の箱上部のボタンを
 押すと、「月桃」の歌の合唱
 が聴ける。 



 なお、

 「月桃」作詞のエピソードや
 その明るい曲調について
 海勢頭 豊さんが語ってい
 る、次のサイトは勉強にな
 った。


 【WEBサイト検索】
 ●「慰霊の日」平和歌「月桃」
  はなぜ3拍子なのか
  沖縄 で歌い継がれて40
  年海勢頭 豊さんインタビュー
  (HUB「沖縄/視点)






 糸満市摩文仁。5月上旬。


 今は写真の花は散り、緑色
 の実の房が垂れていた。







    断崖の
     風の音きく
    沖縄忌
    
     (幸喜正吉)






 ギーザバンタ近くの断崖か
 ら見下ろす。



   波を聞き
    風に向かいて
   沖縄忌 
   
      (入江節子) 











 健児の塔前の海岸。 











 喜屋武海岸の崖下から
 荒崎方面を望む。 

 断崖下の景観は沖縄の他
 の地域の断崖下とは異な
 っていて、激しい戦場の爪
 痕を語っている。



    空も海も
     覚えています
    沖縄忌
      
      (國吉 陽)  











 断崖の下。
 さざ波でゆれる潮溜りの
 水面が美しい。 



    


 健児の塔後方のガマ。


    月桃(五番の歌詞)

   六月二十三日待たず
   月桃の花散りました
   長い長い煙たなびく  
   ふるさとの夏
    


    炎日や
     ”水”叫ぶ声
    煙に消え
      
      (平 中矢)












   修羅場なす
    散兵線に
   ゆうな散る
       
    (平良龍泉)     
           






   乳欲るや
    蠅の骸に
   すがりをり
       
    (平 中矢)     
           


   
   

 糸満市荒崎海岸の岩場。

 盛花の頃は過ぎていたが
 百合の花が、あちらこちら
 に見られた。
 
 

    鉄砲百合 
     沖向く沖縄
    慰霊の日
 
      (小張昭一)       
 

 ごつごつの岩場を進むと、
 
 数十メートル先に、ひめゆり
 学徒散華の跡の碑が見え
 てくる。







   乙女らの
    自決の岬
   青かりき

     (照井 翠)  











 ひめゆり学徒散華の跡の
 碑。海側から。







  島はてに華と散りにし  
    いとし子よ    
  夢安らかに
    眠れとぞ祈る

     (瀬良垣宗子) 

 
 碑に刻まれた和歌。






 散華の跡碑の岩陰。
 
 ひらひらと小さなキチョウが
 一羽舞い込んできた。












 平和の礎前。献花の花束。
 暑い日差しに水蒸気がこもっ
 ていた。 
















 外国人の礎(朝鮮半島や台
 湾出身者)の前。今年も数
 名の参拝者が団体で訪れ
 ていた。






 





 「今の沖縄の現状は、無念
 の思いを残して犠牲になら
 れた御霊を慰めることにな
 っているのでしょうか。」
 
 (戦没者追悼式典での玉城
 県知事平和 宣言文より)


 



 デイゴの花も慰霊の日を
 待たずに散る。

 ひょっとしたらまだ咲いて
 いる花がないかと探した
 がなかった。






 読谷村波平のチビチリガマ。

 遺族による慰霊祭が4月6日
 に行われた。

 ガマでは83名が集団自決の
 犠牲者になっているという。


 自決の状況についてはWEB
 サイトの検索で知ることがで
 きる。また、

 『チビチビリガマの集団自決』
 (下嶋哲郎 著、凱風社)とい
 う本もある。

 





 チビチリガマ前に建立された
 「世代を結ぶ平和の像」上段。


   誰ようらめとて
     なちゆが浜千鳥
   あはぬつれなさや
     わ身もともに

    (琉球古典『子持節』)         
 
 




 「世代を結ぶ平和の像」の
 中段と下段は墓のように覆
 われていて、前と横に窓穴
 がある。

 窓から覗く内部は暗く、像の
 様子はわかりにくい。
 

 









   稚児の声
    虫の鳴くさへ
   疎まるる   

     (平 中矢) 
    










 チビチリガマの前を流れる
 小川。流れは洞窟の中へ
 消えている。 







   川音は
    あの夏のまま
   自決壕

     (前原啓子) 

  




 「Beyond Walls」

 昨年4月、摩文仁の平和
 記念公園広場に描かれた
 地上絵「Beyond Walls」
 (壁を越えて)。

 フランス人の芸術家、ランド
 スケープアーティストの
 SAYPE(セイープ)さんの
 作品。


 「Beyond Walls」の制作
 プロジェクトは2019年に
 パリを皮切りに開始され
 世界各地で製作されてき
 ており、

 日本では沖縄を皮切りに、
 長崎、静岡などで取り組ま
 れた。

 
 



 時計の表示時刻は6:23。

 慰霊の日6月23日を意味
 している。





 製作はドローンを使用。
 上空から全体を俯瞰しなが
 ら描いていた。

 主原料は木炭とチョーク。
 2週間ほどで消えるという。











 縦約00m、横約15mの
 巨大な地上絵。ドローン
 からでないと全体像は撮
 れない。

 









 セイープさん(黒い帽子)と
 スタッフ。セイープさんはと
 てもきさくな人柄に感じた。

 セイープの名は、
 Say Peace(平和を実現
 しよう)の頭文字からとっ
 ているという。


  
 「あらゆる課題の解決には、
 対話が必要というのが彼の
 メッセージ。作品からそれを
 感じて欲しい。」

 「沖縄のこの地はそれを発す
 るのにふさわしい地」だと、

 日本でのプロジェクトを主催
 した「UNITED VOICES」
 の代表である弁護士の桜井
 裕子さんは語っていた。  
 

 WEBサイトを検索すると
 「Beyond Walls」プロジェ
 クトのことや、
 
 パリ、摩文仁、長崎、静岡
 で製作されドローで撮影さ
 れた全体像が見れる。
 



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