残波の波(22)
残波岬。灯台のすぐ東側のわん曲した岩場。去る2月撮影。
波はそれほど高くはなかったが、時折り北西からの強い風
が吹いていた。
空の天気はいい。虹が立つ。
飛沫を浴びないで撮れたが、崖近くに立った姿勢でないと
構図が作れないので足元はひやひや。
海を見ればなんであんなに心が静まるのか?
今日の海は特に荒れているのに、その波のほ
てりのごとき腥(なまぐ)さい力に言葉を失って
いた私の精神はつよく反応するのだ。
私が島に生まれ、海に囲まれて生きている限り
この関係は精神の生理の深いところで結ばれて
いるはずだ。
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街で関係にいたみ関係を見失うとき、私は海に
出かける。けれども言葉という言葉はと切れて、
波のうねりを見ているとき、私はきっとこの島の
古え人と何ものかを共有しているのだ。
清田政信『渚に立つ』より
春濤をのぞく絶壁に誘はれ (秋本不死男)
残波岬で詠んだのかとも思われる句に出合った。
断崖反対側から灯台を見上げる。
ここからは反対側の断崖を打つ荒波は嘘のようだった。
雲の流れが早く形もすぐに崩れシャッターチャンスが逃げる。
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