小夏日の残波岬
11月下旬、小夏日和の残波岬。
深く青い空に高積雲が横たわっていた。
カメラの男性がハートのポースを指示する。
夏のような暑い一日。アイスクリームがよく売れていた。
釣人に声をかけ後から撮らせてもらった。
西日の落とす自分の影が気になったが、左右移動して
も影は画面から消えてくれないので組み入れて構図を
つくった。
音楽が近くで鳴り出した。振り向くとラップの動画を撮っ
ていた。
いい光景だった。撮影の男性にジェスチャーで撮って
いいか示すと、親指と人差し指でOKのサインをくれた。
嬉しかった。
撮影している男性が夢中になり滑り転倒しないかと心
配だった。撮り終えるといいロケーションだったと日本
語で話しかけてきた。
西ノ神之屋。観光客らしき方が手を合わせていた。
断崖の淵まで芒。
花芒払ふは海の鰯雲 (芥川龍之介)
しきりに左右に揺れ動く芒の穂。
芥川龍之介の見た鰯雲ではないが、まあいいか。
海をみて佇てば海より秋の風 (久保田万太郎)
辺りは黄昏れ。灯台のデッキに人影はもうない。
残波ビーチ東側の沖。
何度も波に乗ろうと試みていた。やっとうまく乗れたとき
の1枚。この日は高波は少なかった。
夕日が沈んでしばらくすると美しい夕焼けになった。
小夏日の一日旅は終り。駐車場に戻る。落葉した樹の
小枝の間から三日月が見えた。
旅のつかれのほっかりと夕月 (三頭火)
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