夕暮れの漁港で
外出自粛の続く頃に行った夕暮の漁港。
夕日にかすかに染まっている、護岸の砂だまりに
伸びたシバ草に惹かれた。「つり禁止」の白と赤の
文字がそこにあるのもいい。
場所は泡瀬漁港。以前は漁網干し場だっただろう
と思われる寂れた一角。風雨に色あせた、今は用
済みになった立入り禁止の札がぶら下がっていた。
夕暮の風景には抒情がある。
同じ場所。
県内の漁港には、放置された漁網や長年陸揚
されたままの漁船や廃船が目立ち、漁業の衰退
を感じさせる。
それがフォト・ジェニックなので、いろいろ考えす
ぎると気持ちは複雑になる。
次第に消滅していく一片の雲を染め、夕日が街の
彼方に沈むと、彼方の西空が茜色になった。
まわりを見渡すと散策にきた人影が増えていた。
向かいの突堤から大きな音楽がまた聞えてくる。
若者数名が家籠もりの憂さ晴らしに来ているようだ。
近くで護岸の端に座って夕空を眺めていた年配の
男性が、「禁止されているのだが・・・」と静かな声で
ぼそっと話した。
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