万座毛の怒涛(3)

積雲

2022年12月27日 02:00



 恩納村南恩納の干潟。


 万座毛へ向う途中、砂浜に小船が見えた。海岸沿い
 のスペースに駐車し浜に下りる。


 砂浜に打ち上げられた一艘の廃船とその背後に遠く
 広がる干潟。そして雲に覆われた灰色の空。
 昔、写真か絵画で見たような気がする心の内にある風
 景だった。

 車窓から見えた構図を探しながらいくつかの角度から数
 枚撮った。風が寒かった。長くは居れない。道草をくった
 がいい絵が撮れた。思わぬ天からのプレゼントだった。





 車へ戻るときにモンパノキの横を通った。
 三好和義の写真集『ニライカナイ 神の住む楽園・沖縄』
 に載っていたモンパノキの写真を思いだし、なんとなく1枚
 撮っておいた。
 





 カメラを購入し写真を撮り始めた頃、この湾で夕日や夕焼け
 をよく撮った。
 緑の海。サンゴ礁淵に点在する岩礁に起きて絶えない白波
 の帯をレンズを望遠側にして狙ったが遠すぎた。


 恩納小中学校から「ふれ愛センター」にかけての海岸や、そ
 の先にある岩山周辺も好きな場所。潮のやや退いた頃に
 雲の表情がいいとカメラを肩に歩きたくなる海岸線。





 
 万座毛の西側にあるジリマチの東端。
 「象の鼻」からの続く高い断崖が途切れ低くくなる弯曲し
 た岩場。

 北西からの風速15mの荒風。期待していた怒涛が打寄
 せ大飛沫をあげている。
 飛沫は遠くまで吹き飛び辺りは濡れていた。
 
 
 万座毛の奥に新しく整備された駐車場に車を駐め、
 ジリマチまでは徒歩になる(道は舗装されている。米軍
 の通信基地のなごり)。
 舗装路を200mほどいくと、芒などの茂るなかに釣り
 人が踏み固めた小径が右手にある。そこへ入ると上掲
 の写真の場所に出る。





















 砕けた大波と断崖の端を図形的な構図で切り取った。
 
 
 
 目的は万座毛側の断崖を打つ怒涛。
 飛沫で濡れて滑りやすくなった岩場を怒涛の音の聞こえ
 る岩場の先端へ移動。
 




 万座毛断崖。
 
 今まで見てきた中では最も素晴らしい怒涛が次々と押し
 寄せていた。












 
    砕け散りすぐ牙をむく寒怒涛 (中山泰山)   























 強風と飛沫を避けまた安全に撮影できる位置は限られ
 ている。どうしても過去と同じ構図・フレーミングが多
 くなってきた。
 
 2時間半余が過ぎていた。これまで以上の怒涛は押し寄
 せないだろうと思うとそろそろ引き揚げ時。








    われの年明けてくるなり怒濤音 (高橋悦男)  









 ウドイガマ近くの小さな美しい砂浜。


 駐車乗へはウドイガマ方面を遠廻りして戻る。ほんの十数
 分のささやかな旅情感。何に出合うかわからない。何度も
 見てきたものが初めて見るかのごとく新鮮な被写体に見え
 る発見がある。

 




 反対側から。 












 帰宅途中。赤の信号待ちで、真向かいの建物に心を奪
 われた。
 「まだ青になるな」と念じながら急いでシャッターを切った。






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