ハマボッス(5)~その他の海岸
その気になって探し歩くと、
ハマボッス(浜払子)は、実に
沖縄の海岸(砂浜、岩場、崖な
ど)の至るところで見られる。
(1)沖縄市泡瀬
米軍泡瀬通信施設の海側突端
の砂浜。25年3月中旬。
同上。
砂嘴状に発達した砂浜で。
(2)糸満市摩文仁の海岸
>
健児の塔前の海岸。3月末。
崩落した大小の岩が重なり転
がる崖下の岩場で見つける。
茎の高さ30センチほど。
ようやく見つけたときは嬉しか
った。
ガマ追われ
潜む岩陰
浜払子
(3)糸満市大度の海岸
2~3メートルほどの高さの崖
が続く大度海岸の崖上。
3月末撮影。
普段は満潮時でも波が寄せな
い砂浜後方。崖の陰。
潮騒は
あの日と同じ
浜払子
スナヅルの広がっている場所
ではたいていハマボッスも見
つかる。
大度海岸は摩文仁と同じで
ハマボッスは少なかった。
(4)読谷村楚辺の海岸
艦砲ぬ喰えー残さーの歌碑。
楚辺の住宅街を入った奥の
海側にある。
広場は海に突き出た琉球石
灰岩の崖上を整地した場所
のようだ。
広場右手(北側)の崖下は
ユーバンタの浜。
艦砲ぬ喰ぇー残さー歌碑後方
3メートルほどの高さの崖上。
3月中旬。
同じ場所でカメラを右手に振り
向ける。
崖下の浜はユーバンタの浜。
広場の左手(南側)の崖下。
4月下旬撮影。
崖下の海へは広場から下る
細道がある。
同上。以下同じ。
崖から垂れるように無数の白
い花が見えた。
近寄るとハマボッスだった。
ハマボッスの茎は黄緑~赤
褐色。
歌碑西側の、雑木に覆われ
風当たりの弱い半日向の環
境に生えたハマボッスの茎
は黄緑色が多かった。
【付記】
歌碑の広場やユーバンタ浜
の公園に駐車場はない。
駐車は近くの楚辺公民館/
楚辺多目的ホールの駐車
場を利用させてもらった。
(5)浜比嘉島のヒラ島
比嘉漁港の右手のアダンで
覆われたヒラ島(ヒラシマ)。
竜宮神の拝所がある、見晴
らしのいい島の先端の岩場。
テッポウユリを撮りに行ったら
岩場の窪みにハマボッスの花
が咲いていた。4月下旬。
花の向こうの海に船が欲しい。
漁港へ帰る釣り船がエンジン
音を響かせやってきた。
他の植物に混じって岩の窪
みのハマボッス。
左手前はイワダイゲキ。
茎の高さは10センチ余ほど。
花が咲いていなければ気づか
ず踏んていたかも知れない。
なお残波岬でも、崖縁に咲い
ているハマボッスは茎丈10
センチほどと低かった。
竜宮神の拝所へ行く途中、
アダンのトンネルを抜けた
反対側にある波打ち際。
浜に寄せる白波と岩影が作
る光景が美しくいい絵になる。
拝所のある岩場への細道。
ヒラシマの拝所の周りには
テッポウユリが沢山生えて
いる。
花はちょうど今が見ごろ。
ユリの花を見るだけでも訪れ
る価値がある。
なお、拝所が2つ並んである
が、向かって左側の屋根の
ない方が、もともとからある
漁民が拝んでいる竜宮神を
祀ったものだという。
(6)久高島
ハマボッスは島の東側の海岸
には少なく、西側の断崖上で
多く見られる。
島の東海岸のウパーマ浜で。
ここ一カ所だけでしか見つけ
きれなかった。4月下旬。
同上。
同上。
島の北端。
ハビャーン(カペール岬)で。
海に向かって左手(西側)の
断崖上。
写真からは分かりにくいが、
画面右下にハマボッスの花
が咲いている。
久高島の海岸はその北端の
カベール岬を境に、東側と西
側の地形が極端に変わる。
西側はおおよそ15メートル
前後の断崖や崖が崩落した
箇所など険しい海岸線が、
島の南側(漁港近く)まで続い
ている。
そして、その断崖下には、数
カ所長い階段を下りていく湧
井がいくつかある。
同上のハマボッス。
カベール岬の浜に寄す波。
ハマボッスを忘れ、何時ま
でも撮っていたい気になる。
島の西側の断崖下。
同上。
視線を少し遠くに向けると
いい絵が見えた。
ロマンスロードの東屋のある
崖縁で。
低いモンパノキの茂みの間
に群生しハマボッスが花を
咲かせていた。
ロマンスロードは、島の中央付
近、西側海岸沿いの雑木林の
中を通る整備された散策路。
近寄ってよく見ると白い花に
混じって淡いピンク色の花も
咲いていた。
なお、
宮古、八重山にはピンク色
のハマボッスが多いそうだ。
ネット検索すると濃いピンク
色の花をつけた写真が見れ
る。
先島のピンク色のハマボッス
は白い花のハマボッスとは遺
伝子が異なる種らしい。
花名はベニバナハマボッス。
同上。一部分をアップ。
ロマンスロードには、断崖下
の湧井への脇道がある。
その先には、断崖の壁に湧
井に下る階段が設置されて
いる。
写真はヤグルガーへの階段。
ヤグルガーは久高島開闢伝
説に登場するシラタルーが、
イシキ浜に漂流してきた五穀
の壷を拾うため禊ぎした井泉
(かー)だという。
ヤグルガー。
ハマボッスの花が香炉向か
いの岩壁に咲いていた。
琉球石灰岩の壁の空洞や隙
間から茎が伸びている。
花の色は白だと思っていた
が、よく見ると淡いピンク色。
花の色を目立たせるため、
岩陰の闇を背景に横から
撮った。
島を一回りし、
帰りの船の出発時間まで集
落内をぶらぶらしていたら、
日陰で休む猫を見つけた。
(7)読谷村残波岬
崖っぷちに咲いたハマボッス。
崖縁で海風にもろに晒される
芝草上の ハマボッス。
茎丈は10センチ前後と低い。
なお、
崖縁の同じ場所でも年により
生育状況が違う。数年前はも
っと丈が高く茎も多い株が生
えていた。
【参考】:旧『カメラと沖縄を歩く』
2019,5,02付け〈残波岬は
テッポウユリが見頃〉
散策路の片側あるいは両側
に150~200メートルほどに
わたり群生したハマボッス。
残波岬の散策路沿いでこん
なに群生しているのを初めて
見たのでびっくりする。
今年の残波岬は
テッポウユリ、グラジオラス
そしてヒルサキツキミソウ
も例年になくよく咲いている。
【余談】
日本全国で見られるという
ハマボッス。
しかしハマボッスは、
俳句歳時記(角川)に掲載さ
れていない。
講談社の『草木花の歳時記
~四季花暦』にも無し。
沖縄県内で発行された歳時
記(4冊)にも無し。
昔から知られた身近な花で、
各地に方言名も残る美しい
花なのだと思うのだが・・・。
俳人の
見知らぬ花か
ハマボッス
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