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2020年08月28日

 福木の実

 福木の実が見たくなり西原町の内間卸殿へ寄り道を
 した。去った台風8号の激しい大雨で多くの実が落ち
 ていた。



 福木の実




    福木の実叩き落として雷雨去る



 雨でじめじめした、福木の大きな幹(推定樹齢200年
 余)の周りに落ち散らばった実。東江卸殿(内間卸殿
 に二つある卸殿の一つ)前の庭。

 福木の花の季節は5~6月頃だが、まだ花が咲いてい
 るのかよく見ると散ったばかりと思われる花もあった。




 福木の実





 福木の実


 

 内間卸殿敷地には樹齢350年を超す巨木を始め
 大小の福木があり、林のような景観を見せている。


 福木には雄木と雌木がある。実のなる時期は雌木
 の下には熟した実が落ちているので雌雄の区別が
 つく。 



 なお、東江御殿の庭には雌雄が合体した福木があ
 るという。

 南側にある小さな門から入って直ぐ左側角にあった。
 根元は素人にはまるで一本に見える。胸の高さほど
 で二つの大きな幹に分かれ、途中2カ所で幹が合体
 している大きな福木だった。

 どれが雌でどれが雄かは、黄色い実がついていない
 ので分からない。

 道路側から見て左側の幹の枝にシークワァサーに似
 た緑色の丸い実のようなものが見えたが断定はでき
 なかった。




 福木の実


 茶色のものは黄色い皮が毀れ露わになった福木
 の種子。白あるいはうすい緑色は種子の茶の皮
 が剥がれた種子。




 福木の実





 福木の実


 種子は一個の実の中に1~4個入っている。 

 熟しあるいは朽ちた実からは福木特有の匂いが
 漂ってくる。悪臭という人もいるが、年老いた脳に
 は懐かしい匂い。しばらくはその匂いを風にクンク
 ンと嗅ぐ。


   

 福木の実



 サガリバナの散った花の傍らまで雨水に運ばれた
 福木の実。内間御殿敷地の奥(つまり西側)にある
 西江御殿で。


 東江御殿前庭のサガリバナが良く知られている内
 間御殿のサガリバナ。御殿内に木の数はそう多く
 はない。花の季節は6~8月。




 福木の実





 福木の実


 石垣で囲まれた東江御殿内南側に立つ樹高10m
 を越えると思われる福木。推定樹齢は200年弱では
 ないかという。


 内間御殿の福木の推定樹齢調査については、WEB
 サイトに掲載された『沖縄の聖域景観と保全に関する
 調査研究』(琉球大学農学部学術報告書 第63号)で
 知ることができる。




 夕方まで時間がある。
 ついでに伊計島まで車を走らせた。

 石垣の多い集落のあちらこちらの路地に福木の
 実が転がっていた。




 福木の実


 
 「この庭の木の実の落つる頃好む」(宮津昭彦)という
 句がある。伊計の島で、この句を借りて心の内に詠み
 換える。 


     この島の福木の実落つる頃好む 


 伊計や平安座の島の、低い石垣に囲まれた福木のあ
 る原風景の景観が好きだ。福木の花の散る頃、黄色い
 実の落ちる頃が。気が向けば、カメラを持って車ですぐ
 に訪ねることができる島。




 福木の実


 石垣に落ちその隙間に挟まった実もまた風情に思う。
 



 福木の実


 
 臭い特有の匂いが漂う。踏むとぐにゅっと皮が毀れ
 茶色の種子があらわれる。




 福木の実


 上を向いていて、落ちたばかりの黄色い実を踏んで
 躓きそうになった。その実を道路脇に蹴り飛ばしたが、
 うまく飛ばなかった。

 蹴り飛ばしたとき、『南島俳句歳時記』で見た句のこ
 とがついと浮かんだ。


   福木の実固き門扉へ蹴り飛ばす (安島涼人)        
 

 何故、門扉へ向けて蹴り飛ばす必要があったのだろ
 うかと最初は疑問に思った。今は、遠い幼少の日の
 遊びを思い浮かべ詠んだ句ではないかと思う。



   福木の実蹴れば島の子が見ており


   カメラ旅土産に福木の実二つ

   
 
 落ちた木の実や海岸の波に洗われた小石には心
 を惹かれたまに拾うことがある。
 
 

   旅に来て拾いて捨てし木の実かな (山本潤子) 
 
 



 福木の実


 ツノメガニに会えないかと浜に出て波打ち際を歩
 いた。
 大きなヤドカリに小さなヤドカリが寄り添っていた。
 
 一度逃げ去った小さなヤドカリがまたやって来た。
 大きなやつは臆病で、同じ場所をじっと動かない。
 ときどき様子を窺うように、身を出し触角で辺りを探る。
 歩き出すかとカメラを向けると殻に引き込もる。
   
 ヤドカリと我慢くらべは負けた。


 

 福木の実


 帰りの浜で子どものツノメガニをやっと見つけた。
 見つけられるとカニは直ぐに寄せ来る波の中に走り
 逃げた。




 福木の実


 しばらく波打ち際を見つめていたが、待てど海の中から
 は現われなかった。



 福木の実




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Posted by 積雲 at 23:00│Comments(0)草・木・花
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