2019年12月10日
落 鷹
国頭村の東海岸。風に乗り山の上空を舞うサシバ。
山の腹は芒がびっしりと茂り、海から吹き上げてく
る風に一日中尾花がなびいていた。
落鷹やふきかはりても海の風
(前田貴美子)
白波が寄せる国頭村の東海岸。
サシバは風のある海岸沿いの山や谷、里山の空を
好む。
山際の空を見上げていれば1~2羽は見つかる。
姿は見えなくても、空のどこから鳴声(ピックイー
あるいはチンミー)が遠く聞えてくる。
芙蓉の花を撮ろうと歩いていた大宜味村の里山。空
から聞えたかん高い鳴声に見上げると、上昇気流に
乗り高く舞上がったサシバの黒い影が見えた。
ピックイーと虚空を裂くように鳴く、その鳴声は何故
か物悲しい。子どもの頃から故郷で聞き親しんでき
た鳴声だが、その思いは今も変わらない。
空高く鳴く声かなしはぐれ鷹
サシバは渡り鳥。寒露の頃に新北風(にーみし)に
乗って九州南端から大群で飛来し、途中宮古諸島
などでひと休みし、さらに南の東南アジア各地へ向
かい越冬する。
飛来のピークは10月中旬で、宮古の秋の風物詩。
神々の高さに鷹の光あり
(山田佳乃)
荒波に這える島なり鷹渡る
(篠原雲彦)
その渡りの群れから落ち先島や沖縄島などで冬を
超すサシバが落鷹(おちだか。方言でウティダカ)。
夕されば小松に落つる鷹あはれ
(篠原雲彦)
落鷹は翌年の春、南の国から北へ渡る仲間の群れ
と共に沖縄を去る。迷い鷹、はぐれ鷹などとも詠ま
れる。
サシバは国及び沖縄県の絶滅危惧種Ⅱ類に指定
されている。鳥獣保護法で捕獲が禁止されている。
国際保護鳥。
落鷹だろうか?糸満市の海岸近く。
風に吹かれ長く電柱の上に留まっていた。
はぐれダカ今朝空低くとび鳴けり
かれの世界もきびしからむ
(原田道雄)
原田道雄の句集『海鳴』より。原田道雄は国頭
村出身。愛楽園の日々に短歌を詠んだ。
※サシバの渡りや生態ついて知るには、
次のwebサイトが容易でいい。
(1)宮古島キッズ 〈サシバの広場〉
(2)日本自然保護協会HP 〈絶滅危惧種・サシバ
はどんな鳥?〉
(3)NPO法人林タカ保護基金 〈サシバの生態〉
宮古島住民の生活とサシバの関わりについては、
宮古野鳥の会の久貝勝盛氏の小論「宮古のサシ
バ文化」がある。ネットで読める。
【補追】
今の時季、ヤンバルの山歩きでは芙蓉や水芙蓉の
花や花芒を楽しむことができる。
芙蓉は花の最盛期は過ぎているが、まだ花を咲か
せている。ツワブキの花も咲き始めた。
下の写真は石山展望台→押川→大宜味村の屋古→
塩屋湾へ到る山路。芙蓉は大保ダム周辺にも多い。
道路の両サイドとも芙蓉の花が咲いている。
芙蓉の花は大保ダムからかなり長い距離の道沿
いで見られる。
花の山行くはさらわれ行くごとし
(山田昌子)
である。
この山中を走る道路沿いに芙蓉の花が多いのは、
大保ダム建設時の道路整備の際に植えられたか
らだと地元の方が話していた。
ピンクの花はトックリキワタ。
最近は塩屋富士の山中の散策やその周辺を
トレッキングする米国人をよく見かける。
花薄風のもつれは風が解く
(福田寥汀/ふくだりょうてい)
黒ずんだ山肌を背景に芒の花が逆光に輝く。
ところで芒か薄なのか?
どちらでも間違いではないようだ。
塩屋富士の北東にあるネクマチヂ岳の近くの山路。
もう数週間すれば両側にツワブキの黄花が咲き誇
り木蔭のやや薄暗い路が明るくなることだろう。
ツワブキの満開の頃には訪れてみたい。なお、蝶
もよく見かける。
大宜味村の主峰ネクマチヂ岳(360m)登山もそう
難しくはないが、登り下りはやや急な坂。
初めてならガイドがつけば安心。
「おおぎみまるごとツーリズム協会」があり、ガイド
がお願いできるようだ。
TELL:0980-44-1960