2021年03月30日
ハマダイコンの花
ハマダイコンの花。
3月上旬の沖縄市泡瀬(米軍通信施設北側)の海岸。
数株が密生。茎の高さは30~70センチほど。
ハマダイコンはアブラナ科の2年生草(越年草)で海岸の砂
地に自生。沖縄では2月から3月にかけて、淡い紅紫色の
小さな花を咲かせる。
3月下旬にもなると、花は散りさや状の実だけがついたもの
が多くなった。しかし、まだ蕾をつけたのも見られる。ところ
によっては4月頃まで花を見ることができるかも知れない。
なお、本土での開花時期は遅く4月~6月だという。
花が終わると、先が尖った細長い数珠上にくびれたさや状
のもの(長角果というらしい)が上向きにいくつも茎に交互に
ついている。中に種子が1~6個(3~5個のものが多かった)。

アーサ養殖場のある北中城村美咲地先の海岸(砂浜)。
ここの砂浜には他の海岸植物に混じってハマダイコンの
自生が多くみられる。
ハマダイコンを初めて知ったのはここの海岸だった。
モンシロチョウが吸蜜で訪れていた小さな淡いピンク色の花。
それが、後で図鑑で調べたらハマダイコンだった。
花は淡い紅紫色だけでなく、色あせたような白っぽいものや
淡いピンク色の花をつけた個体も見かける。
場所や個体により花の色の出方に差があるように思える。
ハマダイコンの花は小さいので遠目にわかりにくい。
それが白っぽい色だと地味でさらに目立たない。
海岸の散策では、注意して茂み近くを見渡さないと気づか
ずに通り過ごしてしまう。
ましてや、花が咲いていない季節は、ハマダイコンの群生地
がない沖縄では、ハマダイコンは海岸の単なる雑草のような
存在に落ちているかも知れない。
他県ではハマダイコンの群生地があり、春を告げる花の名所
となっている観光地もあるという。
朝の日差しの下では草花に陰影ができ、花の色も映える。
スナズルの草の下から生え出たハマダイコンの花。
風が強いのだろう。長く伸びた茎はどれも倒れこんでいた。


花や葉はダイコンに似ている。
ハマダイコンの方言名は、ハマデークニ、パラクニ(宮古)、
パルウプニ(多良間)、ヤマナ(渡嘉敷)など。
※デークニはダイコン(大根)のこと。
※パルプニ、パルウプニとは野生のダイコンの意味という。
なお、葉や茎に当然粗毛が有るもの思っていたが、中城村
久場の海岸で見たハマダイコンにはなかった。念のため他
の個体も含め何度か触れて感触を確かめたがやはり毛は
感じなかった。
同じ中城村でも他の海岸で見たハマダイコンには粗毛が
あった。
クサトベラとテリハクサトベラの違いのことを思い浮かべた。
この両者の違いは毛の有無だけ。

浜大根節くれ立てる豆の莢 (高澤良一)
花の大きさ(径)は2cmほど。もう少し小さいものついていた。
花の中心部は白い。黄色い雄しべが6つにめしべ一つ。
背景のぼけた白い花はハマボッス。
ハマボッスは美しい花だ。中城村の砂浜を保全した海岸風景
にマッチする。好きな花で良く撮ってきた。
ハマダイコンと同じ頃に咲く、これも海辺の春を告げる花。

なんとか美しく撮れないだろうか、と背景の茂みが暗い陰に
なっている花を探した。
浜大根はちょっとしたそよ風にもよく揺れる。海風のおさまる
のを待ち、雲が去り陽光が射すのを待つ。
花の付き方は総状花序というようだ。
※総状花序について調べる。
主軸が長く伸び,柄のついた小花がほぼ均等に着いて、
総(ふさ)の形になっている花のつき方・花の配列様式。
・花柄は下になるほど長くなる。
・花は下から上へ咲いていく。
・花芽ができるほどどこまでも咲き続ける無限花序のひ
とつ。
とある。
あらためてハマダイコンの花を観察する。特に主軸の茎が
倒れるかのように1m近くまで成長し、なおその先に数個
の蕾をつけている個体を見るとどこまで伸び続けるのかと
思う。
モンシロチョウがよく訪れていた。
ハマダイコンはモンシロチョウの食草だという。
泡瀬の米軍通信施設北側の浜の先端。二度目に訪れたら
花は4つ5つほど残るばかりで、すっかり散っていた。
丈の高いハマダイコンの後方から花を前景に組み入れて
干潟や海のひろびろとした景観が撮れる場所だった。
もっと早めに来ればよかったと後悔する。
週末の海ひろびろと浜大根 (高澤良一)
風はたゞ浜大根の花を吹く (森田 峠)
熟してもさやは裂けない。
枯れ茎とともに、実を包んださやもそのまま地に倒れる。
台風などの高波が浜によせれば波に運ばれ、より広く遠
くへ種子を散布させることができる。
ハマダイコンの名の由来は「浜に生える大根」の意味。
大根ならどうしても根のことが気になる。太いとは思わなか
ったが、引き抜いて観てみたい誘惑にかられる。詫びなが
ら一株引き抜いてみた。根は細長かった。
ハマダイコンは栽培大根が野生化したもの、と多くの図書で
説明されている。
これに対し、最近の研究では「栽培種の逸出野生化したもの
でなく、大陸から古い時代に渡来した野生ダイコンの後代」で
ある。
このことはミトコンドリアDNAの解析の比較研究から分子生
物学的にも、栽培大根の逸出したものではないことが明らか
になっているという。
(藤田 智『恵泉野菜の文化史(1)ダイコン』)
Posted by 積雲 at 06:00│Comments(0)
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