2020年04月07日
エゴノキの花
3月のやんばる。
くたびれて下る林道のじめじめした坂路。路傍の草
の葉の上や路面にエゴノキの小さな白い花が散って
いた。
散ったばかりの花。遠くからでも目を惹く。
山坂のせせらぎを来てエゴの花 (一香)
暗い背景を探しアングルを決め、シダの葉を揺らす
風の納まるのを待つ。
シダの名を図鑑で調べる。アラゲヒメワラビと思わ
れる。「やや湿り気のある山地路傍で多く見られる」
と書いてある。
クワズイモの大きな葉。前日の雨で溜まった水に
浮かぶエゴノキの花。
散りてなお心ひかるるえごの花
散ったエゴノキの花を撮りながら帰路の林道を、
沢の水音と楚洲の集落へ下る。
蝶がふわふわ飛んでいる。楚洲の林道は蝶が
多い。数種の蝶を見かけた。
草を咲かせてそしててふちょをあそばせて
(山頭火)
アサギマダラ。
来年の2月の頃も、また、ヤンバルの林道を歩いて
いるだろう。
えご散るや咲くやしづかに山の音
(渡辺桂子)
エゴノキの開花時期
名護中央公園の「さくらの園」内の美しいエゴノキ。
満開に咲いた無数の花が散り始めていた。3月上
旬。
エゴノキは落葉性の中高木。高さは3~5メートル
ほど。日本では北海道から沖縄まで広く分布してい
るという。
エゴノキは花が咲いていないときは分かりにくいが、
花が咲いているとすぐにそれと分かる。ヤンバルの林
道沿いでよく見かける。
沖縄県のHPの「有用植物要覧」ではエゴノキの開
花時期は12~2月となっている。
国頭村の林道で散ったエゴノキの花を見たのは2月
だった。
沖縄での開花時期は本土他府県(4~5月あるいは
5~6月ともある)よりかなり早い。
花は白く清楚。花弁は5つ。葉脇から垂れて下向き
に咲く。白く丸いのは蕾。
うつむきて咲くえごなれば愛しかり
(山田昌子)
老いの旅は一切放下えごの花
『沖縄・奄美 南東俳句歳時記』(瀬底月城 著)に
えごの花の季語はないが、盛花の頃を考えると春
になるのだろうか・・・。
角川書店編『俳句歳時記』では「えごの花」(あるい
は「えご散る」)は夏の季語。
花が散り小さな実がつく。
垂れた枝という枝におどろくほどびっしりとうす緑の実
がついている。
風が吹くと枝とともにゆらゆら揺れ動くので、ピントを合
わせづらい。手間取る。
公園の散策路の階段を周回でジョギングしていた方が
側を通り過ぎる。もう2回目になる。「毎日5回走ってい
る。今日はあと1周で終わり」だという。
どうにか撮り終える。
さて、どちらへ行かう風がふく (山頭火)
名護岳の沢への下り径に椿のような花の蕾が咲こうと
していたのを思いだした。まだ昼を過ぎたばかり。時間
はたっぷりある。